都市スラム・ストリート・チルドレンの悲劇
その中で、ブラジル・サンパウロでは、現在200万人ともいわれている、都心周辺のスラム街に住む子供たちが存在しています。 田舎に住む人は、テレビ番組などの影響で「都会に行けばお金が稼ぐことが出来る。」というイメージが定着しており、毎日多くの家族が都市へと流入している。しかし、都市には彼らを養えるほどの仕事も住む場所もないのが現状である。子供を養えなくなった親が子供を残して消え、その子供たちが孤児となり街(ストリート)へ流れるのです。
こうして生まれたのが「ストリート・チルドレン」。彼らの多くは身元も、名前もはっきりとしない子供たちである。
住む場所のない彼らはトンネルや橋の下に住み着いたり、歩道や路地に転がって寝ているのです。
彼らの多くはまともな栄養も取れず、水道もないために清潔な飲料水も得られないのが現状です。冬になると、彼らは寒さをしのぐために下水道や地下鉄の排気口の上に転がって暖を取るのです。
この貧しさが子供たちを犯罪や売春に走らせるのです。ストリート・チルドレンの多くは、他人のものを盗む事にまったく抵抗を持っていないのが現状です。
この問題を解決するには、短期的には子供たちを収容するための施設を作り、彼らに栄養を与え、教育を受けさせることが不可欠であり、長期的には良い家族を作ることが必要です。家族には「子供を養い教育する」機能があり、これがストリートチルドレンを防ぐキーになるのです。また、このような発展途上国では貧富の差がはげしいので、田舎の生産性を上げることも重要です。 |
ミヒャエル・ヘーン氏(日本ブラジル子供支援ネットワーク代表) |